フィリピン幸福論
第 1回 踊り狂う人々 前編
第 2回 踊り狂う人々 後編
第 3回 日本人がフィリピン
     に填まる理由
第 4回 戦士と乙女
第 5回 異形に寛容な
     フィリピン
第 6回 貧しいがゆえ
     豊かなるフィリピン
第 7回 激安暮しの幸福
第 8回 子供が溢れる
第 9回 MLによる新しい
     日本人ネットワーク
第10回 「お客さん」をやっ
      ていませんか?
第11回 マニラで遊べ!
第12回 Pの悲劇
フィリピン恋愛論
第 1回 シングルマザーに
     愛を・・・。
第 2回 駐在員 VS
     カラオケGIRLS
第 3回 Japan meets
     Philippines!
第 4回 日本女性 VS
     フィリピーナ
第 5回 健気なり!
     フィリピーナ!
第 6回 確信犯的悪女系
     フィリピーナ
第 7回 眼力を磨け!1
第 8回 眼力を磨け!2
第 9回 省令改正に関する
     緊急提言!
第10回 眼力を磨け!3
第11回 眼力を磨け!4
第12回 連載の総まとめ
  
著者 :     三四郎
撮影 : Steve Vidler
第10回 〜眼力を磨け!3〜
 暑い!暑い!フィリピンは一足早く夏本番です。太陽が頭の真上にあり、自分の影はあまりにも短くて探さないと見つかりません。冷たくてあんなに辛かった水シャワーも快適になりました。先日はたった500メートルを歩いただけで頭が痛くなり、その上、停めたタクシーがクーラーの故障で汗だくに・・・、肩こりから偏頭痛までしてきました。脱水症状かいな?と思って水を飲んだところ、たちどころに肩こりが消えました。やはり脱水で血圧が上がったための肩こりだったのです。

 日本と気候の違うフィリピンで日本人が暮らすのですから、体調には充分気をつけなくてはいけません。例えば、アイスコーヒーやビールをいくら飲んでも利尿作用があるので脱水には効果がありません。麦茶やミネラルウォーターを飲んでください。脱水が日常化して何年も経つと、腎臓などに石が溜まりやすくなります。マニラ在住の日本人に多い病気です。

 JFC(日本人とフィリピン人の混血児)の赤ちゃんも、普通のフィリピン人の赤ちゃんと違って、暑いのが苦手なようです。汗をフィリピン人よりたくさんかきます。そのような人種的な身体機能の違いも忘れずにマニラでは暮らさないといけません。

さて、今月は眼力の続きです。読者の皆さんはこのようなことを考えたことはあるでしょうか?日本に来たピーナのほとんどはホステスを生業とする女性ですよね。ご自分の生涯の伴侶を選ぶ時に、なぜフィリピンパブのような飲み屋に行くのでしょうか?いや、伴侶を探しに行った訳ではなく、たまたま好きになってしまった娘がフィリピン人ホステスだったのだという反論もあると思います。

では、年間5千組にのぼる日比国際結婚のうち、日本人男性と日本でのホステス経験のあるピーナとの組み合わせはどのくらいの割合になるのでしょうか?9割を超えると思います。そして、その組み合わせのカップルは、高い確率でとても短い間に破綻していくのです。

 なぜ破綻するのでしょうか?

 考えてみれば簡単なことです。日本で働く彼女達に、お店のオーナーは30万円もの月給を払っています。もちろん、彼女達の手元に渡るのはわずか5万円ほどですが、オーナーが負担する人件費は30万円です。お店のオーナーとしてはそのピーナに最低でも3倍、つまり100万円以上の売上を上げて欲しいと思っています。毎月100万円を売り上げるには、10万円払う客が10人です。10万円といいますと、毎月の来店が6回以上でしょうか。週1回から2回のペースですね。

 要するに、一人のピーナが日本で働いていくには、週1〜2回来る客が少なくても10人必要、しかも6ヶ月間です。あなたがピーナだったらどうでしょうか?10人のお客さんを6ヶ月に渡って繋ぎ止めておくことが出来ますか?

 お客が付かず、売上が上がらなければ3ヶ月でフィリピンに帰されてしまうピーナが多い中で、3回、4回と回を重ねていく「ベテラン」と呼ばれるピーナ達。お店に通わせた上にプレゼントも買わせ、その上に送金までさせる彼女達。そうです、彼女達はその道の「プロフェッショナル」なのです。

 10人の客全員に心から正直に接することができるでしょうか?売上ノルマを助けてくれる客と、善い人だけどお金のない客とどちらが大切でしょうか?彼女達にとって、お店は仕事の場なのです。遊びで日本にいるわけではないのです。フィリピンの田舎には、飲んだくれの父親、働かない兄、まだ学校に行かなければならない弟妹、送金をまだか?まだか?と催促する母親がいるのです。

 10人同時に付き合うわけですから、細かく嘘もつくでしょう。目の前の日本人から金を巻き上げるために、いろんなお話も作るでしょう。同伴の買い物から、プレゼントから、帰りの荷物の超過料金まで、全て客に払わせても至極当然でしょう。なんで私が払わなくちゃならないの?ってことです。それが毎夜毎夜6ヶ月、来日2回目で1年、来日4回で2年・・・。徹底的に繰り返されるのです。周りには上手く立ち回った同僚も出てきます。お客から家を買ってもらった。ジプニーを買ってもらった。帰国する時にこれだけの金額を貰った・・・。

 二十歳前後の若い女の子がそんな環境で2年も仕事をしたらどうなるでしょうか?フィリピンで100ペソがなくて泣いていた金銭感覚は、完全に日本の水商売モードに変わっているでしょう。それだけじゃなく、稼いだお金はフィリピンに送金され、田舎の家族の金銭感覚まで壊れていくのです。

 客のほうは、10人のライバルと競い合わされ、サラ金から軍資金を借りた上でやっとのことで結婚にたどり着きます。奥さんのほうは結婚ビザを取って憧れの国日本。これで心置きなく旦那の給料から家族に仕送りができるだろうと思った矢先・・・。そうです。旦那にはもうお金がありません・・・。

 じゃあ、昔とった杵柄。私が働けばいくらでも送金できる。だって、今は結婚ビザだから、給料も桁が違う。当然旦那は面白くない。そりゃそうです。自分の嫁さんが、他の男にお酒を注いでいるんですから。仕事なんかやめろ!ということになる。

 フィリピンの田舎には金銭感覚が壊れ、生活コストを膨らませて、消費の味を覚えてしまった家族が待っている。矢のような送金の催促。でも仕事は旦那が許さない・・・。日本人旦那もピーナ嫁さんも、こんなはずではなかったという想いから、当然の結末として離婚へと向かうでしょう。

 じゃあ、そもそも飲み屋で伴侶を探すのが間違いなのですか?他に何か手はないのですか?三四郎さん!何かいい方法があるんでしょう?はい!ありますよ。その方策は・・・?残念ながらまた紙数が尽きてしまいました。来月の誌面にて、ご期待ください!



第11回 〜眼力を磨け!4〜 に続く!

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著者プロフィール

著者名 三四郎

フィリピン社会事情MLを運営。
マニラ現地サービスを展開中!
マニラ在住8年。

E-MAIL: nbf04352@nifty.com
URL: www.pmlc.net


写真協力 シゲ  Shigeru Ueki

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